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プロフィール
吉川良作家

1937年東京都生まれ。
芝高等学校卒、駒澤大学仏教学部中退。
薬品会社の営業、バーテンダーなど数々の職業を経験。
1978年すばる文学賞受賞。
1999年社台ファームの総帥、吉田善哉氏を描いた「血と知と地」(ミデアム出版社)で、JRA馬事文化賞、ミズノスポーツライター賞優秀賞受賞。
JBBA NEWS掲載の「烏森発牧場行き」第1便~第100便は「サラブレッドへの手紙(上・下巻)として2003年源草社から出版されている。
著者のエッセーには必ず読む人の心をオヤッと引きつける人物が毎回登場する。
「いつも音無しの構えでみなの話に耳をかたむけ・・・」という信条で、登場人物の馬とのかかわり、想いを引き出す語り口は、ずっと余韻にひたることができるエッセーとなっている。
馬・競馬について語る時は、舌鋒鋭く辛口の意見も飛び出すが、その瞳はくすぐったいような微笑みを湛えている傑人である。

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     「第38回開成美術部OB(三美会)美術展」の案内ハガキが、綾瀬市に住む荒井良一から届いた。会場は東京都中央区京橋2の7の1のギャラリーくぼた。 友だちの画家の個展で「くぼた」に行ったことがあるが、その京橋2の7の1のあたりは私の人生の深い思い出とつながっている。 私の母親は埼玉県加須市の出身。加須女学校で同級生だった仲よしの梅子さんが京橋2丁目に住んでいて、京橋から遠くない神田に住む母親とのつきあいが続いていた。 ...

  • 第347便 おれの財産 2023.11.16

     「大谷選手が米国で本塁打王争いを独走中の9月上旬、駅員の鈴木匡哉さん(28)は福岡市北東部にあるJR香椎駅のホームにいた。配属されて9か月が過ぎ、水色の制服は体になじむ。指さし確認で列車を見送るしぐさも板についてきた。 11年前の高校最後の夏、日米のスカウトが注目する大谷選手と岩手大会の準決勝で相まみえた。一関学院のエースの鈴木さんは7点を追う六回表2死一、三塁で左打席に立った。「絶対に打ってやる」。バットをくるくる...

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     襲いかかってくるような陽射し。炙られるような舗道からの地熱。2023年の7月と8月は、異様な暑さの連続だった。その異常は北国にもひろがっていて、札幌や青森の友だちからも、変だよなあと声が届く。 8月末の日曜日、東京の墨田区向島に住む富彦くんが私の家へ遊びにきた。富彦くんは47歳、老人介護施設で働く奥さんと、中学生の娘ふたりと暮らしている。仕事は高校を卒業して青森県上北郡から上京してきて以来、変わらずに道路工事会社で働...

  • 第345便 父と子 2023.09.21

     2023年7月から8月、日本列島は襲いかかってくるような異常な暑さに焙られているが、猛暑は日本に限らず世界各地を襲っていて、国連のグテーレス事務総長が、地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰の時代が来た、と発言した。 「バス停で10分待っていただけで熱中症になってしまった人もいる」というニュースが聞こえてくる8月6日、原爆投下から78年が過ぎた朝、広島での平和記念式典をテレビで見ている。 午前8時15分、「平和の鐘」が鳴らさ...

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     昔は松竹大船撮影所だった土地に、ホールや画廊や集会室などが並ぶ鎌倉芸術館がある。酒場友だちの画家の個展とかグループ展とか、ピアノコンサートなどによく出かけるのだが、そこへ行くと私は、そこの近くのスーパーマーケットの中にあるフードセンターで、たこ焼きを食べるのが、どうしてか私の幸せな習慣なのだ。 最近、気になっていることがある。注文をして、「できました。取りにきてください」というブザーの音をテーブルで待つのだが、...

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